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2026-02-09

邑南町で教えてもらった、味噌作り

昨年の冬、この町に来てはじめて、味噌を仕込みました。

ご近所のおばあちゃんに教えてもらいながら、みんなで仕込んだ味噌です。

 

それから一年。

先日、その味噌のふたを開けました。

 

薄いベージュ色だった大豆のかたまりは、つやが出て、明るい茶色にわっていました。

味噌の香りが部屋中に広がります。

 

その香りと共に、昨年一緒に味噌づくりをさせてもらった日のことを思い出し、とても暖かい気持ちになりました。

できあがった味噌を持って、教えてくれたおばあちゃんのところへ。

一緒に味噌を味わっていると、昨年一緒に作った時間やその時のやり取りまで、ふっとよみがえってきます。

そうした思い出が、味噌の味と重なっていくように感じました。

 

あの時間を思い返しながら、今年は教えてもらったことを頼りに、味噌を仕込んでみることにしました。

 

味噌づくりは寒仕込み

寒仕込みの「寒」とは、

一年の中で一番寒い時期のこと。

二十四節気でいうと「大寒」の前後です。

このタイミングで味噌を仕込むと、気温が低いため空気中の雑菌が活動しにくく、カビや腐敗菌などによる汚染リスクを減らすことができるそうです。

 

冬のあいだはゆっくりと発酵が進み、

春から夏にかけて少しずつ気温が上がっていく中で、じわじわと熟成が進む。

急激な発酵を避け、味に深みが出るのだそうです。

 

このあたりではみなさん、寒の時期に味噌を仕込むそうで、私もそれにならって同じ時期に仕込むことにしました。

 

 

味噌づくりの材料と工程

材料は4つ。

・大豆

・麹

・塩

・水

 

ひとつひとつの工程には、ちゃんと意味があったことを思い出しながら進めます。

 

大豆を戻す→煮る

大豆を洗って、だいたい3倍の水で一昼夜浸します。

水を吸って、ぷくぷくになった大豆。

去年、みんなで可愛いねと眺めていたことを思い出しました。

翌日、やわらかくなるまでじっくり煮ます。

目安は親指と小指で大豆を挟んだ時に、力を入れなくても潰れるくらいまで。

 

塩きり麹

麹をほぐして塩と混ぜる「塩きり麹」の作業は、教えてもらった中で特に大切だと感じたところです。

麹一粒一粒に、塩でコーティングするように混ぜる。

手を動かしながら、そのときのおばあちゃんたちの言葉や手つきが浮かんできました。

 

つぶす工程

じっくり煮て、やわらかくなったら大豆を潰します。

今回は袋と手で。

途中袋が破けて、大変なことになりました(笑)

全体がペースト状になるまで、しっかり潰していきます。

 

容器に詰める

味噌玉を作り、容器の底の隅から埋めるように詰めていきます。

空気が入らないように、押しながら。

 

浸して、煮て、潰して、混ぜて、詰める。

言葉にすると、味噌づくりはとてもシンプルに感じます。

 

けれど、実際にやってみると、ひとつひとつの工程に、細やかな加減や工夫があったころを思い出しました。

去年、教えてもらいながらできたことのありがたさを作業をしながら改めて感じました。

 

今年は、教えてもらったことを頼りに、

自分なりに、少しだけ仕込むことができました。

 

昔の味噌づくりの話

作業を終えて一息ついてとき、

おばあちゃんたちが話してくれた、このあたりの昔の味噌づくりの話を思い出しました。

 

昔は「一科」「二科」といった単位で味噌を仕込み、

家の外で、薪を使って大きな鍋で大豆を煮ていたそうです。

各には、大きなミンサーもあったと聞きました。

 

あらためて、今回、使った材料を思い返してみると、

大豆はこの近くでとれたもの。

麹は、ここで育ったお米を使い、顔の知っている人が仕込んでくれたものでした。

塩は自分の好きなものを選び、水は、毎日飲んでいるこの町の水です。

 

水がきれいで、田畑が身近に広がり、

お米や大豆が育つ風景が、日々の暮らしのすぐそばにあります。

味噌づくりに必要なものが、ふだん立ち寄る道の駅でそろえることができます。

 

そうしたことを思い返していると、

おばあちゃんが話してくれた「味噌づくりは特別なことではなく、暮らしの一部なんだよ」という言葉が、ふと浮かびました。

 

誰かを思って仕込む味噌

ここでは、作った味噌を離れて暮らす家族や孫に送る、という話をよく耳にします。

「子供や孫達が、いつも楽しみに待っている」

そう話してくれたおばあちゃんの、優しい笑顔が、いまにも心に残っています。

誰かの顔を思い浮かべながら作る味噌。

その景色に触れながら味噌を仕込めたことは、心に残る時間になりました。

 

今年仕込んだ味噌も、

また来年、ふたを開けるのを楽しみにしています。

カテゴリー:体験記