邑南町醤油蔵に息づく、木桶仕込み
雪も解け、日中はずいぶんあたたかくなってきました。
春の空気を感じるようになると、少し遠くまで足を伸ばしたくなります。
私が邑南町でよく通っている場所のひとつに、醤油屋さんがあります。
垣崎醤油店さんでは、木桶を使った醤油仕込みが、いまでも受け継がれています。
蔵に並ぶ木桶
お店の奥にある蔵には、大きな木桶がずらりと並んでいます。

見上げるほどの高さの桶がいくつも並ぶその空間は、静かで、少しひんやりとしています。
長い時間が積み重なってきた場所ならではの、どこか神聖な空気も感じます。
近くで見ると、杉の板が丁寧に組まれ、竹の箍(たが)でしっかりと絞められているのが分かります。
釘や接着剤を使わず、木と竹だけだけで組み上げるその構造は、今では貴重な伝統的な技法よるものです。
こうして作られた桶が、百年近くたった今でも現役で仕込みに使われています。
桶には、目に見えない細かなすき間があり、そこに微生物たちがすみつき、醤油づくりに欠かせない発酵を支えているのだそうです。
その働きが、ここならではの味わいにつながっているのだと教えてもらいました。
麹から生まれる味
この蔵では、醤油づくりの土台となる麹もつくられています。
「一麹、二櫂、三火入れ」という言葉を教えてもらいました。
麹づくりが何よりも大切で、その次に諸味の管理、最後に火入れがくるという意味なのだそうです。
麹をつくる工程は、温度や湿度を細やかに見守りながら育てていく、とても手間のかかる仕事。
いまでは麴を外から仕入れて仕込むところも多いそうですが、ここでは麹づくりから丁寧に行われています。
そうしてつくられた麹は、醤油だけでなく、味噌や甘酒、塩こうじ、もろみなど様々な商品にも使われています。

麹からつくる、優しい味わいの味噌
麹を少し多めに使って仕込まれているため、ほんのりとした甘みとやさしい旨みが感じられます。
材料は、
島根県産の大豆、
島根県産のお米を使って丁寧に手作りされた麹、
こだわりの塩、
そして邑南町の地下深くから汲み上げた水です。
昔ながらの作り方で、時間と手間をかけて丁寧に仕込まれています。
やさしい甘みと旨みが感じられる、とてもおいしい味噌です。

この味噌は地域の学校給食でも使われているのだそうです。
この町で仕込まれた味を、この町の子どもたちが毎日の給食で口にしている。大豆やお米、そしてこの土地の水から生まれ、丁寧に仕込まれた味。
そんな味が、子どもたちの日々の食につながっていることに、この町の豊かな循環を感じました。
丁寧な手仕事と、時間が育てる味
木桶やそこに棲む菌の働き、そしてこの土地の水。
そこに、日々の素材と向き合いながら丁寧に仕込みを続ける人の手が重なって、あの優しい味が生まれているのだと感じました。
時間を重ねながら仕込まれていく味。
木桶の中では、今日もゆっくりと発酵が続いています。
そして店舗では、この木桶仕組み醤油を使ったラーメンも味わえます。
自家製麵に、木桶仕込みの醤油を使ったラーメンも味わえます。自家製麺に、木桶仕込み醤油の旨みを生かした特性スープ。チャーシューには石見ポークが使われるなど、こちらも素材と手仕事を大切にした一杯です。
醤油のやさしい旨みがじんわりと広がり、思わずスープを最後まで飲み干したくなるおいしさです!






