梅雨を超えて、梅の続き

塩に漬けて梅酢が上がるのを待ち、梅雨が明けたら、いよいよ梅を干す作業です。
今年はなかなかタイミングが合わず、気づけば土用干しの時期を過ぎていました。
梅をしっかり干せる日を待ちながら、天気予報を確認する日が続きました。
ようやく天気と予定がそろった日に、梅酢から梅を取り出し、天日干しです。

天日干し1日目。追熟梅(左)と完熟梅(右)
2種類の梅のその後
地域の方から「木の上で完熟した梅は、香りもよく、おいしいよ」と聞き、どんな違いがあるのだろうと、今年は木の上で黄色く熟した完熟梅と、室内で追熟した追熟梅の2種類を漬けてみました。
塩漬けにしたときにも少し違いがありましたが、干す前の梅を見てみると、また気づくことがありました。
まず違いを感じたのは、梅酢の量です。
完熟梅の方が、梅酢がたっぷりと上がっていて
追熟梅よりも梅酢の量が多かったです。
梅自体は、どちらもやわらかくなっていましたが、
今回の完熟梅は皮も果肉もさらにやわらかく、
表面は、すべすべ、ふわふわ。
思わず何度も触りたくなるような、なめらかな触り心地でした。
少し力を入れたら破れてしまいそうなくらい繊細で、一粒ずつそっとざるへ並べていきました。
はじめは淡い肌色のようだった梅が、夏の日差しを浴びながら少しずつ赤くなっていきました。
昨日より赤くなっている。そんな変化を見るのも干している間の楽しみのひとつでした。
日中、梅をひっくり返していると、気づけば私の腕まで真っ赤に
梅が少しずつ赤くなる横で、私の腕も日に日に赤くなっていきました(笑)
仕事から帰ってきたらまた梅をひとつずつ返します。
そうしているうちに、辺りはだんだん暗くなっていき
ふと顔を上げると、山の間から月がのぼっていました。

今年の梅干しが完成

太陽の光をしっかり浴び赤く染まった梅。
ざるに並んだ姿を眺めるのも、うれしい時間でした。
干し上がった2種類の梅を並べてみると、見た目の色には、それほど大きな違いはありません。
でも、触ってみると、木の上で完熟した梅は、干し上がったあともやわらかく、表面はしっとりとなめらか。
追熟した梅とは、触れたときのやわらかさや感触に少し違いがあるように感じました。
そして、いちばん気になっていた味。
どちらも、しっかり酸っぱくて、しょっぱいのですが、
木の上で完熟した梅の方が、梅の香りをより感じ、塩味の角が少し取れたような、まろやかさを感じました。
同じように漬けて、同じように干した2種類の梅。
今回食べ比べてみると、香りややわらかさなどに、それぞれ少し違いを感じました。
おわりに
6月に梅を収穫し、塩に漬け、梅酢が上がるのを待つ。
晴れの日を待って、ひとつずつざるに並べ、何度も返しながら干していく。
邑南町に来て梅仕事をするようになり、
梅干しはこんなにも時間をかけ、何度も手をかけながら出来上がっていくものなのだと知りました。
梅の季節には、地域の方と梅の話をする機会があり、
「もう採っていい頃だよ」
「そろそろ干してもよさそうだね」
何気なく聞いていた「そろそろ」は、毎年梅を見て、漬けて、干してきたからこそ分かる頃合いなのだと感じます。
私もこれから少しずつ、そんな「そろそろ」が分かるようになれたらいいなと思います。
出来上がった梅干しは、家族や友人にも食べてもらう予定です。
みんなの顔を思い浮かべながら、ひとつひとつ梅を返す時間もなんだかいいものでした。
また梅の季節が来るのを、楽しみに待ちたいと思います。
来年もまた、おいしい梅干しができますように。





