たけのこ堀りの春

邑南町に来るまで、たけのこが土から顔を出しているところを見たことがありませんでした。
春になると山へ入り、たけのこを掘る。
そんな春があることを、こちらへ来てから教えてもらいました。
今年も「たけのこが出たよ」と声をかけてもらい、地域の方たちと一緒に山へ入りました。
落ち葉の下のたけのこ
地面から少しだけ顔を出しているたけのこがあるよ。
……と教えてもらったのですが、私はなかなか見つけられませんでした。
地域の方は、歩きながら次々と見つけていきます。
「そこにもあるよ」
そう言われてしゃがみ込むと、落ち葉の間から少しだけ頭を出していました。

たけのこは少し反るように生えていて、曲がっている側に大きな根があるのだそうです。
たけのこを傷つけないように、曲がっている側の土を少し掘り、その根を断ち切るように鍬を差し込みます。

うまく入ると、てこの原理で、ぽろっと土から外れます。
落ち葉の間から少しだけ顔を出していたたけのこは、
掘ってみると、思っていたよりずっと大きく、手に持つとずっしり重たかったです。
たけのこは、動物たちにも人気なのだそうです。
特に、イノシシは人より先に地面の中に埋まっているたけのこを
匂いで見つけてしまうのだそう。
「イノシシは、おいしいたけのこをよう知っとる」
そう言って、みなさん笑っていました。
たけのこづくしの春
別の日には、地域の農家さんたちが収穫した
たけのこを、みんなで水煮にしました。

たけのこの量は60キロ。
大きな釜に火をつけ、地域の木材の端材を燃やしながら、たけのこを茹でていきます。
米ぬかと唐辛子を入れて、ゆっくりアクを抜く。
たけのこは、掘ってから時間が経つほどえぐみが増すため、採れたらできるだけ早く茹でるのがいいのだそうです。
スーパーに並ぶ水煮のたけのこも、こうした手間を経てできているのだと、こちらへ来てから知りました。
そして、旬のやわらかいたけのこが採れる時期は、思っていたよりずっと短いことも知りました。
山で掘ったたけのこを、その日のうちに茹でる。
そんな日が、春のあいだに何度かありました。
数ヶ月前までは雪が降っていた山も、春になると一気に色づきます。
草木が芽吹き、花が咲き、鳥の声が響く
足元には、数十種類の山菜が次々と顔を出します。
そんな春の山を、「山笑う」と言うのだと教えてもらいました。
また来年も、この景色を見られたらと思います。





