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2025-04-25

邑南町の春の贅沢

 

邑南町に来て、初めての春。

白一色だった景色に、少しずつ色が戻り、さまざまな植物が元気に顔を出しています。

邑南町に来て、「春って、こんなに幸せな季節だったんだな」と、うれしく思う日々です。

 

■ 邑南町の豊かな山の恵み

 

先日、近所のおばあちゃんに誘っていただいて、山に入りました。

つくし、こごみ、せり、のびる、みつば、ぎぼし… 初めて見る山菜がたくさん。

山菜って、こんな風に生えているんだとびっくりしました(笑)

 

「このへんにこごみが出るのよ」「これはおにしめに」「これはまだ小さいね」「これは胡麻和えにするとおいしいよ」

歩きながら次々に教えてくれるおばあちゃん。足元には宝物のような春の恵みが広がっていました。

三つ葉

こごみ

山菜のほろ苦さには、冬の間にたまったものをすっきり流す力があると聞きました。

自然と共にある暮らし、そして昔ながらの知恵。そのどれもが、私にとって何よりの贅沢でした。

 

■ 春の訪れをつげる、つくしの秘密

つくし

スギナ

 

歩いていると、にょきにょきと顔を出したつくしが、まるで背比べをしているように並んでいました。

その近くには、朝露をまとってきらきら光るスギナの姿も。

つくしとスギナは、同じ地下茎から出てくる兄弟のような存在だと知り驚きました!

 

その日は、つくしをたくさん摘ませてもらい、家に帰ってから、夜な夜なはかま取りに励みました。

すると、手や机の上が緑色の粉だらけに!

 

つくしの胞子

 

最初は「カビみたい!?」と驚きましたが、これはつくしの頭から舞う胞子。

春に命をつなぐための、大切な粒なのだそうです。

 

食べるときは、胞子がまだ飛んでいない、頭がかたく閉じた茶色っぽいつくしを選ぶのがコツだそう。

根元からやさしく摘んで、はかまを取り、この緑の粉(胞子)も洗い流してから、湯がいてあく抜きをすれば下ごしらえ完了。

 

ちょっと手間はかかりますが、それもまた春の台所仕事の楽しみ。

天ぷらや卵とじ、佃煮にすれば、春の香りがふわっと広がります!

 

■ 食と暮らしがつながる場所

 

邑南町で迎えた春は、これまでで一番、春という季節を五感で感じた時間でした。

暮らしの知恵を惜しみなく分けてくれる、近所のおばあちゃんやおじいちゃんのあたたかさに、いつも心から感謝しています。

 

そんな日々の一つひとつが、外から来た私にとっては驚きであり、感動であり、そして何よりの贅沢でした。

都会では感じられなかった、春の色、香り、音がここにはたくさんあります。

 

春は短く、あっという間に過ぎてしまいます。

邑南町を訪れることがあったら、ぜひその時々の自然の恵みを、心とからだで味わってみてください。